THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
NEWS! イベント&セミナー情報
■「OAC広告制作業界セミナー(広告解剖学)」

開催日 2005年2月4日(金)
開催場所 「日本青年会館」
東京都新宿区霞ヶ丘町7-1
参加者 大学(賛助会員校)=女子美術大学、東京工芸大学、東北工業大学=計34名、
専門学校(賛助会員校)=阿佐ヶ谷美術専門学校、東京コミュニケーションアート専門学校、東京デザイン専門学校、東北電子専門学校、東洋美術学校、町田・デザイン専門学校=計156名、その他=3名、
合計=193名

OACは、これからの広告制作を目指す学生を対象に、広告制作会社と、その制作ワークの実績を理解してもらうことを目的に「2005 OAC広告制作業界セミナー(広告解剖学)」を開催した。
第1部は、OAC正会員3社により、クリエイティブの実践をケーススタディで語るセミナー形式で催され、第2部では、業界情報、就職相談などが開かれた。
当セミナーは、広告制作業界において初の試みであったが、全体的に学生の反応も良く、実践に役立つ極めて有意なセミナーとなった。

■進行
司会 木下幸弘(特別ミッション部会会長)
13:15   開会の挨拶:横山芳明(特別ミッション部会理事)
<第1部>講演「ケーススタディで語る、仕事とクリエイティブの実際」
13:30   ●ケーススタディ 〜カゴメブランド広告〜
鈴木みのり((株)エージー/プランニングディレクター) 
14:20   ● ケーススタディでみる伊勢丹の広告戦略
軍司直人((株)スタヂオ・ユニ/クリエイティブディレクター)、佐藤昭一(同社/クリエイティブディレクター)、川畑豊(同社/コピーディレクター)
15:10 ● パナソニックデジカムのキャンペーン
佐藤勇((株)ズームデザイン/代表取締役) 
<第2部>パネルディスカッション「徹底的に答える、業界とクリエイティブの色々」
16:00   パネラー:山本昌邦((株)エージー/代表取締役)、軍司直人((株)スタヂオ・ユニ/クリエイティブディレクター)、川畑豊((株)スタヂオ・ユニ/コピーディレクター)、佐藤勇((株)ズームデザイン/代表取締役)
16:45   閉会の挨拶:田村信征(特別ミッション部会理事)

■第1部  講演「ケーススタディで語る、仕事とクリエイティブの実際」
「(株)エージー/鈴木みのり」
75年間もの間、ロングセラーとなり、今なおヒットを飛ばすカゴメ株式会社の定番商品「カゴメトマトジュース」。そのブランド戦略に1972年から携わってきた広告制作会社の立場から、きわめて実際的・実践的な広告戦略が紹介された。長い歴史をもつカゴメCMの時系列的分析から、ヘビーユーザーの価値文脈、カゴメ総合研究所によるトマトの成分分析結果など、豊富で多角的な調査・統計資料をもとに、ユーザーへの訴求効果などを発表。それらを踏まえた商品イメージ、提案された広告の具体例などが提示された。また、同ブランドから発売する他商品への波及効果なども報告された。
最後に広告業界を目指す学生たちへ、クライアントとともに仕事を行うことの喜びや、「毎日が違うことの繰り返し」と、クリエイターとしてのやりがいを語り、エールを送った。
 
「(株)スタヂオ・ユニ/軍司直人+佐藤昭一+川畑豊」
  世界的な百貨店の歴史から伊勢丹の成り立ち、その後40年あまりに渡る広告展開の状況を紹介。そうした歴史の俯瞰を通し、クライアントと一体となって進める協働者としての目線から、広告戦略の構築と広告表現のあり方が追究、提示された。バブル経済崩壊を転機として、消費者の多様化を背景に生まれた、‘ファッションの伊勢丹’というブランドアイデンティティ。その確立に向けた総合的なコンセプトづくりを中心に、(株)スタヂオ・ユニにおける伊勢丹九州初出店のためのオープン広告制作の実務、別館伊勢丹メンズ館立ち上げに伴うさまざまな取り組み、成果が紹介された。
 
「(株)ズームデザイン/佐藤勇」
  パナソニック/デジカムのキャンペーン企画・制作における具体的なプロセスやノウハウを提示。企画からプレゼンテーションに至る作業フローやロケーティング、撮影、マッキントッシュによる画像処理など、広告制作遂行に役立つ実践的な話題が提供された。話の折々に、実際に起きた失敗譚など、現場ならではの精彩に富んだエピソードがユーモアを交えて紹介され、軽快なトークで会場を沸かせる一面もあった。また一方で、制作現場と印刷現場のインフラの格差など、デジタル環境ならでは問題点や入稿スケジュールを遵守することの必要性やその厳しさなど、業界ならではのシビアな一面を感じさせる、忌憚のない意見も述べられた。

■第2部  パネルディスカッション「徹底的に答える、業界とクリエイティブの色々」
講演に引き続き、発表3社よるパネルディスカッションが行われた。話題は、どんな人が広告制作に向いているか、また求められる資質やスキル、心掛けなど、第一線で働くクリエイターから、次代を担うビギナーに向けられたアドバイスに集まり、真剣な面持ちでメモをとる学生の姿が目立った。主に述べられた質問や意見として
Q.「広告業界に求められる人材、資質、心がけとは?」
広告の仕事が好きであること。 
持続力=体力が必要であること。
コミュニケーション能力を磨くこと。
興味を持つ間口(範囲)を広く持つこと。
Q.「PCスキルは必要か?」
想像から創造につなげるためのアイデアを具体的に表現(開示)できる能力(技術)をもつこと。また、そのためのトレーニングやスキルアップに日々努めること。パソコンは、業界に必須のツールとしてではなく、クリエイターによる表現の1手段であることを認識してほしい。
広告制作には、クライアント企業のホームページなどネット上のバーチャルな情報だけではなく、最終的なコミュニケーションの相手となる消費者の立場となり、自ら商品を試し、使い心地を確認するなどの実体験も大切。

当日は、賛助会員校の学生をはじめ担当教官や就職課の先生方も足を運ばれ、各校の先生からは「広告制作の現場を知る、貴重な機会になった」というお声を多数頂いた。業界入りを目指す学生とともに、先生方にとっても業界が求める人材像を知るうえで、貴重な情報収集の場となったようだ。
 
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