THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
NEWS! イベント&セミナー情報
■OAC第5回知的財産権セミナー

日時 2006年7月20日(木)午後2時〜午後4時
会場 グランドアーク半蔵門(富士西の間)

「知的財産権セミナー」はOAC知財権部会の主催により今年で5回目の開催です。今回の講師は(株)電通法務室法務3部部長の中西 開氏。昨年のセミナーで「続きの話が聞きたい」「事例を多く教えてほしい」等の声が多かったため、再度ご登場いただいた。
当日の参加者は104名(正会員25社、81名 賛助会員10社、16名 一般3社4名、他3名)で、会場はほぼ満席となりました。


  講演前半のテーマは、広告自体や利用素材の著作権について。広告や版下データの著作権の帰属について、改正下請法の施行により、今まで以上に明確にしなければならなくなったというお話は、時流を反映した新しい観点であった。
さらに権利帰属後の著作物の改変時や、「書」「デザイン文字」「タイプフェイス」等で権利の主張が立場によって違う場合など、想定されるトラブルとその防止策を具体的に述べられ、参加者は熱心に聞き入っていた。前半の最後に人の肖像権とパブリシティ権について、解釈や線引きを示された。

  後半は、モノのパブリシティ権、著作権・肖像権・パブリシティ権以外の注意すべき権利や法規のお話。動植物やブランドイメージを含めたモノにパブリシティ権はないが、不正競争防止法や民法の所有権上でのトラブル事例は多く、具体例を挙げて話された。多くが法的根拠はあいまいなため裁判になりやすく、それを避けるためには実務で処理する、すなわち事前承諾が確実との見解を示された。
続いて注意すべき権利や法規では、社寺ほか建物、自動車ほか交通車両、衣類、玩具、映画や小説のタイトル、「赤十字」や「非常口」などのピクトグラム、動物、外国国旗、貨幣といったアイテムについて、具体的に事例を挙げられた。いずれも先のモノのパブリシティ権同様に、実務での処理が重要であるとのお話であった。制作の素材や表現で何気なく使用するモノが多いため、ほとんどの参加者がメモを取っていました。 最後に権利トラブルの防止策として簡潔にまとめていただいた要点。

(1)権利のチェックは怠らない。思い込み、うっかり忘れは禁物
(2)グレーゾーンの権利に注意。独断は危険で、専門家の助言を
(3)権利処理を確実にする。できれば書面での契約を

以上の講演は、およそ2時間でしたが、内容が濃かったためかたいへん短く感じられ、全体を通して参加者は熱心に聴講。広告制作に携わる人々の知財権への関心はますます強まっていると感じたセミナーでした。

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