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OAC 社団法人 日本広告制作協会
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■『デザインのための紙・印刷・加工の講座2008』
  第三回「インキ/シルク・UV印刷」

日 時 2008年6月20日(金)
会 場 東洋インク製造株式会社・福寿産業株式会社

印刷表現におけるクリエイティブ向上の一助となることを願い、企画された『デザインのための紙・印刷・加工の講座2008』。2008年6月20日(金)に開催された第三回のテーマは「インキ/シルク・UV印刷」です。「印刷の基本」から始まり、第二回で「紙」を学びましたが、今回よりいよいよ特殊印刷/特殊加工に触れていきます。東洋インキ製造株式会社とその関係会社でシルク印刷・UV印刷を取り扱う福寿産業株式会社に、今回の講師&見学をご協力いただきました。

午前の部は座学からスタートします。「インキ」と「UV印刷」について東洋インキ製造(株)のマーケティング部 山崎美紀氏に講義をいただきました。まず、四つの印刷形式(凸・凹・平・孔)に対してその形式に応じたインキが作られるという、インキの基本の話から始まりました。色素・溶剤・基剤のサンプルや、印刷サンプル、フレキソ印刷の版見本なども豊富にご用意いただいています。

興味深かったのは、インキの話は印刷関連他社との関わりを抜きには成り立たないという点です。たとえば、インキの発色の違いは、紙質の違いの話に発展します。あるいは、プロセスカラーの色域の限界が、カラーマネジメントの必然性に結びつきます。印刷納期の短縮のため、熱乾燥性のインキが必要になり、さらには化粧品や食品のパッケージが求める「低臭気印刷物」を実現するため、紫外線硬化型のインキが開発される、などなど。印刷産業は複数の企業が協力し合いながら発展してきたということが想像されます。そしてインキは紙と同じ「キーアイテム」の一つです。なぜなら印刷物を「見る」ということは、実は紙の上に置かれたインキを見ていることに他ならないからです。

後半はプロセスカラーの色域の限界を超えるインキ=Kaleidや、紫外線硬化型の印刷・加工技術として「UV印刷」が紹介されました。実際の業務でUV印刷の多彩な表現力を利用してみたいものです。

昼食をはさみ、(株)福寿産業川口工場と隣接する東洋カラーテックへバスで移動します。敷地内にはドラム缶サイズのインキ容器が並んでいました。
工場見学のまえにスクリーン印刷について座学があります。講師は福寿産業の営業部長 朝田平様です。スクリーン印刷の優位性は、インキの厚みであり、紙以外の素材や二次平面ではない表面に印刷可能であるということでした。とくに大量のインキを刷れるということは、UVインキとの相性が良いと言えます。オフセット印刷物への二次加工目的に、などスクリーン印刷は幅広い用途に使われています。

期待の工場見学は3班に分かれておこないました。
1) 東洋カラーテックでインキの調色の見学
2) スクリーン印刷の現場
3) スクリーン印刷を用いたサンプルルーム

1) こちらでは主にオフセット印刷のインキを調色して出荷しています。東洋インキではCMYKのプロセスカラー以外に、36色の基本色が用意されています。この基本色を調合することで「特色」は作られていて、熟練のスタッフがカラーチップの色をもとに調色を行います。紙質で発色が変わるものなので、実際に印刷する紙を使い正確な色を作っています。人の手は、思いもよらぬほどレベルの高いワザをふるうことができるのだ、と実感しました。
2) スクリーン印刷の現場でも職人の手ワザは健在です。オフセット印刷物にUV系の二次加工を行うとき、納品されたデータからそのまま刷版すると、印刷を済ませた紙は伸びを生じているので見当が合わないのだそうです。そこで現物に合わせながらフィルムを切り貼りし、見当のあった版を作っていました。フィルムレスで刷版しているオフセット印刷の現場では見ることができなくなった光景です。
3) サンプルルームは特殊印刷・特殊加工のオンパレードでした。百のコトバを連ねるよりも、実物を見ることが勝ります。参加者はたくさんのクリエイティブの「ヒント」を持ち帰ったことと思います。毎回思うことですが、実際の業務の場面で「ヒント」を活用して欲しい。その際はこの講座で出会った方たちに連絡をとってください。きっと喜んで相談に乗ってくれることでしょう。
お見せしたいサンプルや記録写真が多々あるのですが、諸々の事情によりWeb上での公開は控えさせていただきます。ご興味をもたれた方は本企画への参加をご検討ください。まずは特別ミッション部会の宇田、もしくは事務局までご連絡を。
東洋インキのスタッフがインキを飴細工のように扱いながら缶に詰めている驚愕のシーンのムービーをお見せします。(写真はUVニスのサンプルです)

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