THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
NEWS! イベント&セミナー情報
■「デザインのための紙・印刷・加工の講座2009」開催報告

第1回 「紙・工場見学と試作紙」

日 時 2009年6月24日
会 場 静岡県富士市 日清紡ペーパープロダクツ(株)

2009年度第1回目となる「紙・印刷・加工の講座」では、日清紡ペーパープロダクツ(株)「富士事業所」にて、「紙」に関する基礎知識と製紙体験および工場見学を行いました。会場が静岡のため朝8時に集合、バスにて日清紡「富士事業所」へ向かいました。
午前中は製紙行程の説明を聞いた後、工場で原材料から紙が出来上がる行程を見学。午後は工場見学に加え、参加者自ら紙の原料を調合しての製紙体験と表面加工の体験を行いました。自ら紙の原材料を調合して紙漉(かみすき)をおこなったり、後加工で紙の表面にラメをいれたり、紙造りの原理を体験。その後は株式会社竹尾の林氏による、紙の歴史、印刷にまつわる紙の話を聴講しました。目と耳、そして自らの手で、「紙」のポテンシャルを体感する1日となりました。



第2回 「シルクスクリーンを用いた特殊加工」

日 時 2009年7月24日
会 場 埼玉県川口市 福寿産業(株)、東洋インキ製造(株)

第2回のテーマは「シルクスクリーンを用いた特殊加工」。バスにて福寿産業(株)、東洋インキへ向かい、セミナーを開催しました。
福寿産業(株)では、シルクスクリーンによる特種印刷の概要説明を受け、作例ギャラリーの見学、製版・印刷工程の見学を行いました。作例ギャラリーは「アイデアの宝庫」と言われているそうで、多くのクリエイターが「ネタ探し」に訪れているそうです。
当日、福寿産業(株)の印刷現場ではクライアントの立ち会いがあり、見学が叶わなかったのですが、隣接する東洋インキ製造(株)工場にて、特色インキの製造工程を見学することが出来ました。特色インキがどのように作られるのか、色指定に基づいて最新機材と熟練工の技による色作りの現場を体験することができました。

 
 


第3回 「印刷の基本講座と工場見学」

日 時 2009年9月11日
会 場 埼玉県鶴ケ島市 錦明印刷(株)富士見工場

第3回「印刷の基本講座と工場見学」では、錦明印刷(株)にて印刷の基礎知識と工場見学を実施。参加者は神田の錦明印刷(株)本社前より、バスにて埼玉県の富士見工場へ向かいました。
同社工場の印刷工程の概要と、高精細印刷のレクチャーを受けた後、工場見学へ。フィルムおよび CTPによる製版を見学し、印刷の原版が出来る行程を学びました。
さらに、刷版がセットされた印刷機を使い、オフセット印刷機の構造と多色印刷の工程を確認し、製本行程では、文庫本が出来上がるまでの人間と機械の共同作業を見学。普段見ることのできない光景の数々に、参加者は目を瞠っていました。
見学後の質疑応答でも多くの質問が飛び出し、現場を知ることの大切さを改めて感じることのできたセミナーとなりました。

 
 


第4回 「フォントにおもしろい文字と組版の話」

日 時 2009年10月23日
会 場 (株)モリサワ 東京本社ホール

第4回となる「フォントにおもしろい文字と組版の話」では、(株)モリサワ テクニカルセンターの村辻博見さんより、デザインの重要な要素である「文字」と「組版」についてお話を伺いました。
本講座は印刷会社向けの教育プログラムを、デザインに関わるクリエイターや学生向けにアレンジしていただいたもので、デジタルデザインに役立つ知識が満載。とはいえ、決して難しい内容ではなく、私たちが日常目にしている広告物から事例を取り上げて解説されるなど、大変興味深く、分かりやすいお話でした。特に、DTPではとかく問題になりがちな「JIS 文字コード」も、その成り立ちから、なぜ問題が発生するのかを詳しくお話しいただきました。
素朴な疑問を丁寧に紐解いていく内容に、参加者も集中して聴き入っていました。

 
 


第5回「製本にできること」

日 時 2009年11月20日
会 場 (株)三光堂製本

今回は2009年度に賛助会員となった、東京都製本工業組合とのコラボレーションで、大田区城南島にある(株)三光堂製本本社工場にて、製本行程を見学しました。
東京モノレール「流通センター」駅に集合し、(株)三光堂製本のマイクロバスにて工場へ。 湾岸道路をくぐり、コンテナトラックの出入りが激しいエリアを抜け、城南島海浜公園近くの(株)三光堂本社工場へ到着。
木植代表取締役より、基本的な製本のレクチャーと同社の製品サンプルを見ながら、印刷以降の加工でどんなことができるのかを紹介いただきました。工場では、断裁、型抜き、折り、そして製本と、まるで手品のように製品ができあがっていく行程を見学。同業者でもどうやっているのか分からないような、細かな工夫が至るところにちりばめてあるそうです。
工場で製造工程を見た後で、再度できあがった製品を手に取ってみると、随分違って見えるものでした。

 
 


第6回「デジタル撮影とポストプロダクション」

日 時 2010年1月22日
会 場 (株)ケイプラン 麹町スタジオ

2010年1月のワークショップは、(株)ケイプランさんのスタジオを教室にし、デジタルカメラによる商品撮影と仕上げの実務を見学しました。
広いスタジオにセッティングされた商品(家具)をどのように撮影し、仕上げていくのか。いつもとかなり違う雰囲気でワークショップがスタートしました。
ところが、セットにトラブルが発生。背景にする壁が足りないという事態に。そこで、今回講師を務めていただいた竹澤カメラマンの指示で、スタジオのスタッフの方々がてきぱきとセットを組み替えながら撮影が進んでいきます。 撮影された写真はその場で合成が行われ、壁が追加され、さらには被写体=製品の質感をよりよく見せるための合成処理まで行われ、見事に完成。
カメラマンは目的に合った写真を仕上げるため、様々な状況に対応し、デジタル技術を駆使しています。 スタジオでもロケ先でも、イメージ通りの写真を撮り、創るために、後加工(ポストプロダクション)のことも考えて撮影をしているのです。
デジタル技術を活かした「匠の技」にふれた、価値ある講座でした。



第8回 「やってはイケナイ印刷NG」

日 時 2010年3月26日
会 場 (株)竹尾 見本帖本店
ワークショップ参加者風景

2009年度「デザインのための印刷・紙・加工の講座」を締めくくるワークショップとなる今回のテーマは「やってはイケナイ印刷NG」。今まで各講座でお伝えしてきたものとは逆の視点で、デザイン制作者が知っていてほしいトラブル回避の情報を、インキや紙メーカーの立場からお伝えしよう、というものです。

錦明印刷/根立 隆 氏「印刷のNG」 錦明印刷/根立 隆 氏
デジタルでは多彩な表現が自由にできてしまいますが、製版→印刷→加工というプロセスでどのような作業が行われるのかを意識して作らないと、 とんでもない手間をかけてしまうことや、間違った仕上がりになってしまうこともあります。 根立氏が「勘弁して!」と思わず叫んでしまった事例や、よくあるトラブル事例を紹介いただきました。

東京都製本協同組合/牧野 文彦 氏「製本のNG」 東京都製本協同組合/牧野 文彦 氏
4種類の製本サンプルで、紙の「目」を意識しないとどんな問題が発生するのか、トラブルにならないよう加工現場での工夫のあれこれをお話しいただきました。
さらに、ミュージシャン・椎名林檎のブックレットを例にとり、加工現場とデザイナーが協力することで「とんでもなく凝った作品」ができあがる事例をご紹介いただきました。

東洋インキ製造/山崎 美紀 氏「インキのNG」 東洋インキ製造/山崎 美紀 氏
インキの物理特性を知ることで多くのトラブルを避けることができ、同様に思い通りの表現を作ることもできるのだと、インキと色の基礎知識をご紹介いただきました。
印刷インキでできること・できないことを整理して、トラブル回避だけでなく、特色インキやUV硬化型インキなどを効果的に使いこなす方法をお話しいただきました。

竹尾/青柳 晃一 氏「紙のNG」 竹尾/青柳 晃一 氏
「紙の特性により印刷の仕上がりは変わり、加工上注意しなければならないことも多くあります。どのような仕上がりにしたいのかで、適した紙を選択するのが基本ですが、インキや印刷方法との組み合わせでも変わります。印刷に向かない紙でも、効果的に使うことが出来るので、印刷加工会社とよく打ち合わせ、良い作品をデザインしてください」とのメッセージをいただきました。
「トラブルを避けるため」だけではなく、「より高度なデザイン表現のため」の知識として、いろいろなお話をいただきました。

 
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