THE ORGANIZATION OF ADVERTISING CREATION
OAC 社団法人 日本広告制作協会
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■経営部会報告 〜面白法人カヤックのビジネスモデル〜
 

日時:2012年11月6日(火)午後6時〜7時30分
場所:3331 Arts Chiyoda コミュニティスペース
参加者数:85名
講師:面白法人カヤック代表取締役CEO 柳澤大輔氏
   株式会社ベルズ 佐藤良仁氏


〜面白法人カヤックのビジネスモデル〜

今回は、面白法人カヤック 代表取締役CEO柳澤大輔氏をお招きし、クリエイター集団として日々躍進し続ける会社の秘訣を語っていただいた。また、カヤックの外部アドバイザーでもある佐藤良仁氏にコーディネーターとして立っていただき、受講者とのキャッチボールも織り交ぜたトークセッションという形式でセミナーはスタートした。


■カヤックについて
佐藤氏のリードにより、まずは面白法人カヤックという会社の組織と事業について、柳澤氏の解説が始まった。組織としては友人3人でスタートをし、現在では契約社員を含めると約250名近いスタッフを抱えるまでに成長した。当初は少人数であった為、今では会社の代名詞として有名となった「サイコロ給」を導入。
(基本給×サイコロの出目%=サイコロ給)として給料に+αされるという、世界でも類を見ないユニークな仕組みを作り、創業から現在まで続いている。他にも「旅する支社」「スマイル給」「ウルトラマン型勤務制度」等々、カヤックならではの一風変わった社内制度を紹介された。
事業としては、大きく分けて自社案件と受託案件とで構成されているが、境目はあいまいでもある。これまでも自社案件として様々なサービスを立ち上げてきたが、T-セレクトというサービスをライブドアに売却したように、ある程度成長した案件についてはサービスそのものの売却という手段をとっている。平均年齢は20〜30代だが、なるべく20代となるようおさえている(つまり社員を増やし拡大している)。また、Web上での社員紹介は役職ではなくあえて年齢順になっており、名刺は漫画風であったり、出来得る限りの情報を全て公開するなど、「作るひとを作る」という企業理念に基づいて様々な活動をしている。各種サービスについては、これまでの広告業界からすると新しいジャンルを切り開いてきたという自負を持っている。Webサービスの世界では、従来のようにクライアントからお題をもらって制作をするというスタイルではズレがあり、自分がやりたい事をできるのがインターネットの世界であり、カヤックの活動領域はその中にある。


■おもしろい制度はなぜ生まれるのか?
年2回の「ぜんいん社長合宿」を行い、会社を面白くするブレストを10時間以上して社内活性化を図っている。ちなみに普段のブレストは1時間以内と決めている。会社の理念がテーマとなっており、自分も会社の役員だと思えないと楽しめないという考えがベース。それは、ユーザーにも一緒に作ってもらうという発想の自社サービスにも通じている。また、スピードが遅いということはクリエイティブではなく、時間がかかることは良い物ではないと考えている。
また、考え方のひとつとして「何でもまずやってみる」という発想があって、ダメならすぐに撤退をするだけ。

■スタークリエイターはいない?
カヤックはスタークリエイターが個人プレーをする会社ではなく、チームワークで作り上げていく組織。例えばSNSゲームの「ぼくらの甲子園」などはその代表例で、こういったチームワークで成立するゲームを作れる会社は他にはない。
ディレクターだから上位という発想はなく、現場技術者の意見を強く取り入れているため、給与も一番高い。またKPI管理をしっかりやっているので、営業がいなくとも営業感覚は優れている。あらゆる数字のことを重要視しており、自分の職能だけではなく両方できなくてはいけない。

■自分と会社の成長がリンク
自分の将来像と会社の将来像が重なっていることが重要で、現在の規模であればまだそういうことができる環境にある。しかし業界でまだあまり知られていなかった頃と比べると、入社時の希望動機がだいぶ変わってきているのも事実。
現場ではおよそ5人のうち2〜3人がリーダーとして動いている。また、受託サービスにおいては一つのリソースを一元化しており、自社案件と受託案件とは分けている。


■営業がいない
「何でもまずやってみる」の考えがあるので、色々なことをやっているがやはりコケるものもある。だから職種をシンプルにしている。社内に無ければ外と組めばよいし、そのまま売却してしまってもいい。シンプルにすることで戦略に指針が出てきて、物事を判断しやすくなっている。
自社案件と受託案件の比率は4:6くらいだが、3ヶ月に一度全ての状況をチェックしており、ダメそうならその時点で撤退をする。ここでも数値化して全てを判断している。
社員が自社案件と受託案件のどちらを担当するかは、新卒時にどっちにいくかで変わる。デザイナーは受託向きだが、エンジニアやディレクターはどちらもこなせる主力スタッフになる。現在は職種も再定義する必要もあると感じているが、そもそも技術に疎いただのデザイナーはダメである。

■社員について
大きく分けて、意匠部(デザイナー)技術部(エンジニア)企画部(ディレクター)の3つ。各ポジションの肩書きはなく、ステップアップの流れとしてはデザイナー →ディレクター、エンジニア→ディレクターの二通りしかない。
新入社員に関しては、新卒採用にしても中途採用にしても、実際に制作したものを直接見て判断をすることにしている。将来的なポテンシャルのようなあいまいなものだけでは決して判断しない。また、ユニークな採用方法も実施しており、毎年新卒に対して話題となるようなキャンペーンを仕掛けている。例えば「卒制採用」というものがあり、卒業制作だけで判断するというもの。これは学生間のバズを期待したものであり、相当数の広がりを見せて大成功した。

■平均年齢20代について
この業界では、そもそもトップダウンというやり方よりも、ボトムアップ型の方が当たる確率が高いと思っている。まだ会社として15年ほどなので、そもそもエンジニアとして50代になってしまった社員がまだいない。若い人が考えたものが有効であるのは間違いなく、役員を刷新したYahooのように常に若くしておかなくてはならない。


佐藤氏の掛け合いもさることながら柳澤氏の生のトークがいい雰囲気を醸し出し、会場からも熱心な質問や発言が相次いだ。世間では「一風変わった」と見られるカヤックだが、その経営哲学や社員に対する考え方、クリエイティブの在り方は、参加した出席者にとって大いに刺激になったはずである。

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