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OAC 社団法人 日本広告制作協会
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■経営部会セミナー

グラフィックデザインの仕事をコミュニケ―ションデザインの仕事に変える方法
「いかにグラフィック仕事の枠を超えるか」
講師 ビジュアルメッセージ研究所 代表取締役の山本洋司氏
開催日 2016年6月7日(火)18時〜19時30分
会場 セットインターナショナル会議室
参加者数 経営部会含め41名
6月の経営部会は、グラフィックデザインの仕事をコミュニケ―ションデザインの仕事に変える方法と題し、「いかにグラフィック仕事の枠を超えるか」というテーマでクローズドな勉強会を実施した。講師にビジュアルメッセージ研究所代表取締役の山本洋司氏をお招きし、通常の仕事の流れから、顧客の思いやニーズや悩みをいかに引き出し、グラフィックデザインの枠を超えたビジネスへと展開させていくか、ご自身の体験を含め、分かりやすくレクチャーをいただいた。
■山本洋司氏略歴
武蔵野美術大学を卒業後、日本デザインセンターに入社。クラウンやコロナ、カローラといったトヨタの国内広告、SP制作を12年間担当された。その後、北米を除く海外全エリアの広告を20年間担当し、カタログローマット化によるトヨタブランド構築の戦略、レクサスブランド構築の戦略を歴任された。また、国鉄民営化プロジェクト、JR発足のCI総合計画に参加、以後、JR東日本とそのグループ企業などを手掛けた。
その後、住友林業やJFのVIを制作、2004年に株式会社ビジュアルメッセージ研究所を設立、現在までに数々のビッグプロジェクトを手掛けてきている。

研究計画はストーリーが必要である

国鉄民営化以降、長年JRのCIやVI等に携わってきて、あらためて「駅」についてどうあるべきかを考えて考察した研究計画をJRに提案をした。
そもそもこのプロジェクトの目標や目的は、ゴールを「高齢者にやさしい駅」にするには何をしなければならないか、何が問題で何が足らないのかといったところからスタートした。
日本人にとっては「駅」であって「STATION」ではない、つまりこれからの駅はどうあるべきかを考えた時、それは江戸時代の銭湯のイメージでありゆずりあいの精神だと考える。
そこで、25年前の国鉄民営化の時に大変革したその時の思いに原点回帰するべく、また、多くの部署の方々に見てもらうため、映像にてプレゼンテーションを実施することにした。

「ゲート」をデザインする

映像の内容は、恵比寿駅と鎌倉駅をモチーフに現在の課題をデザインで改善することによる視覚の変化をシミュレーションしてみたもの。例えば、恵比寿駅にある恵比寿像前での待ち合わせを仮定した時にはどうなるか。ホームに降りた瞬間から、何口の改札口から行けばよいのか判断に迷う。最寄りの改札口へ向かっても、そこまでの各種サインや多種多様の掲示板のせいで、誰しもが明確にわかるようにはなっていないため迷いやすい。そこで、改札口自体をひとつの「ゲート」そのものとして捉え、色やフォントを揃えるのはもちろん、サインを統一してシンプルかつ分かりやすくしてみた。「ゲート」は案内表示としてだけではなく、駅としての存在意義や、利用者が「ゲート」をくぐるという行為を認識することで、駅と人をつなぐひとつのカタチになるのではないかという内容の提案をした。

仕事に対する思い

数々のビッグプロジェクトを担当し、独立後も大手代理店とのコンペにも個人で勝ち取ってきた山本氏は、これまで営業活動をしたことが無いと言う。山本氏曰く、それは会社としてではなく、個人で人との繋がりに於いて仕事をしているからであって、小さな仕事であっても全力で取り組むことで、さらに仕事が仕事を生むことに繋がってきたからである。 また、常に先を読むプレゼンを心掛けており、コレだったら刺さるであろうと思われるツボを押さえた提案活動をしている。個人としてはタイポグラフィや漢字書体に強みを持っており、行き詰ったら自分の得意分野に引きずり込むこともある。そしてプレゼンシートは、あくまで1枚にまとめるのが山本氏のポリシーである。
「こんがらがってピッ!ガラガラポンですよ。」

今回もクローズドの勉強会にも関わらず、40名を超す会員社が出席し山本氏の講義に聞き入った。山本氏自身がとてもフランクかつオリジナリティ溢れるパーソナリティをお持ちの方で、決して誰しもが真似できることではないが、クライアントと真摯に向かい合いその思いを汲み取り具現化していくプロフェッショナルな姿勢は、講義を聞いた参加者一人一人にとって「仕事の枠を超える」何かしらのヒントになったのではないだろうか。

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