
三陸鉄道カレンダー2026
宮沢賢治とイーハトーブの「いきもの」たち
全国から86作品が寄せられました。
ご応募いただいた皆さん、ありがとうございます。
今回は宮沢賢治の詩や物語に登場する動・植物がテーマ。
採用作品ならびに全応募作品をご覧ください。
完成した『三陸鉄道イーハトーブカレンダー2026』は、三鉄オンラインショップ さんてつ屋にてお求めいただけます。
2026年を宮沢賢治の物語に登場した「いきもの」たちと、お過ごしください。
1,000円(税込み)+別途送料。A4 中綴じ28p(見開きA3)壁掛けタイプ

各月のテーマと応募作品
1月 馬

カレンダー採用作品 内澤 舞子(岩手県)








今月の賢治作品
『ま青きそらの風をふるはし』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/53384_43325.html 出典:青空文庫
古来より馬との関わりが深かった岩手県。「南部曲り家」は、母屋と厩(うまや)を繋げたL字型をしています。現在は、盛岡、遠野、花巻の文化財を見学することができます。さて、「馬を水辺に連れていくことはできても、馬が水を飲むかは馬次第」(You can lead a horse to water, but you can‘t make him drink.)という英語のことわざがありますが、強制されるのは馬でなくても嫌なもの。自分で動き出す1年にしていきましょう。2026年は午年(うまどし)でもあります。
2月 フクロウ

カレンダー採用作品 泉 達也(東京都)






今月の賢治作品
『林の底』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4437_9671.html 出典:青空文庫
賢治の『林の底』では、「わたしらの先祖やなんか、鳥がはじめて、天から降って来たときは、どいつもこいつも、みないち様に白でした。」と、一羽のフクロウが語りだします。そして、トンビが染めもの屋さんになって…と、お話は続きます。さて今年2026年は、誰かに染められる前に、こんな色にしていきたいと自分で考えたいもの。今年を良い色に染めていきましょう。
3月 カエル

カレンダー採用作品 畠山 基子(秋田県)


今月の賢治作品
『カイロ団長』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1918_18512.html 出典:青空文庫
賢治の『カイロ団長』では、アマガエルたちがトノサマガエルのお店で何百杯ものウイスキーを注文するのですが、お金がありません。トノサマガエルは、じゃ家来になれと様々な仕事を押し付けます。どっちもどっちの関係ですね。ちなみに岩手のトノサマガエルは、トウキョウダルマガエル(北上川水系沿い標高の低い水田地帯を中心に分布)とトノサマガエル(二戸市、一戸町、軽米町、九戸村、洋野町、西和賀町付近)。花巻の賢治がトノサマガエルとしたのは、トウキョウダルマガエルなのかもしれません。
4月 オキナグサ

カレンダー採用作品 入江 桧(愛知県)








今月の賢治作
『おきなぐさ』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1085_47131.html 出典:青空文庫
オキナグサは漢字で書くと、翁草。花のあとにできる種に白く長い毛が生え、それを老人のヒゲに見立て「翁草」と呼ぶようです。
賢治の『おきなぐさ』の冒頭では、「うずのしゅげを知っていますか。うずのしゅげは、植物学ではおきなぐさと呼ばれますが、…そんならうずのしゅげとはなんのことかと言われても私にはわかったようなまたわからないような気がします。」と、あります。当時、賢治の住む花巻辺りでは、そう呼んでいたのかな。この「オキナグサ」、いわてレッドデータブックでは、絶滅危惧種Aランクに指定されています。
5月 ツキノワグマ

カレンダー採用作品 永田 裕二(愛知県)







今月の賢治作品
『なめとこ山の熊』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1939_18755.html 出典:青空文庫
岩手県内の熊の生息数は、2020年時点で約3,700 頭。熊は基本的には臆病でおとなしい性格。植物に偏った雑食性の動物です。行動範囲は広く、食べた植物の種をフンとして出すことで植物の繁殖を促すなど、生態系を支える役目も果たしていると考えられます。しかし、近年のエサ不足などで市街地での出没情報が増え、人との関わりが問われています。
賢治の『なめとこ山の熊』は、人と動物がお互いに生きることを考えるキッカケになるかもしれません。
6月 ツグミ・フクロウ・ヨシキリ・カケス

カレンダー採用作品 辻 直子(埼玉県)









今月の賢治作品
『よく利く薬とえらい薬』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4441_7305.html 出典:青空文庫
賢治の物語に登場する動物の中では鳥が最も多いそうです。この『よく利く薬とえらい薬』では、ツグミ・フクロウ・ヨシキリ・カケスが主人公の清夫さんを励ましています。登山好き、そして鉱物好きで「石ッコ賢さん」と呼ばれていた賢治ですから、自然に触れる機会は多かったのでしょう。鳥も実際に観て、その生態を調べていたのかもしれません。
7月 シカ

カレンダー採用作品 中井 智子(愛知県)






今月の賢治作品
『鹿踊りのはじまり』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1923_10183.html 出典:青空文庫
岩手県内の鹿の生息数は、約10万頭。鹿の増加により、食物となる草や木の実も減少。熊が人里まで現れるのは、この植物の減少や、ブナの実(どんぐり)の凶作なども一因ではないかと言われています。ちなみに2023年に三陸鉄道に衝突した鹿の数は178頭。線路内への侵入を防ぐネットの設置など対策も行っていますが、2018年の約7倍と増加しています。なお、三陸鉄道では、鹿や野生動物を見学する「ナイトジャングルトレイン」の運行で、鹿や野生動物のことを考える機会も設けています。
8月 ヨタカ・カワセミ

カレンダー採用作品 河原 均(広島県)








今月の賢治作品
『よだかの星』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/473_42318.html 出典:青空文庫
ヨタカは「いわてレッドデータブック」のリストではCランク、環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種(存続基盤が脆弱な種)とされています。ヨタカは夜行性。昼間は樹上で木のこぶのように擬態して休みます。賢治の『よだかの星』では、冒頭に「よだかは、実にみにくい鳥です。…くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。」とあります。一方で、美しいカワセミをヨタカの弟としていますが、実際は違う種目。ヨタカは山間部を中心に生息しキョキョキョキョッと大きく鳴いて飛び回ります。
9月 ライオン・シロクマ・ゾウ・キツネ・タヌキ

カレンダー採用作品 杉山 実咲(愛知県)



今月の賢治作品
『月夜のけだもの』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4420_29934.html 出典:青空文庫
賢治の『月夜のけだもの』に登場する動物たちを描いてもらいました。え?岩手イーハトーブにライオンや象いないでしょうって。もちろん自然の中にはいませんが、盛岡市動物公園 ZOOMOにはいます(描いていただいた動物のうち、残念ながらシロクマとニワトリはいませんが)。
10月 リンドウ

カレンダー採用作品 北田 史帆(東京都)







今月の賢治作品
『銀河鉄道の夜』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/456_15050.html 出典:青空文庫
賢治の『銀河鉄道の夜』には、「ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」カムパネルラが、窓の外を指して云いました。と、あります。このリンドウは、岩手県が出荷量日本一で全国の60 %のシェアを誇ります。次いで秋田県と山形県が共に11%。この3県で全国の約8割を占めています。【農林水産省「花き生産出荷統計」(2024年)】
11月 サル

カレンダー採用作品 平岩 珠緒(東京都)





今月の賢治作品
『さるのこしかけ』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/469_19943.html 出典:青空文庫
賢治の『さるのこしかけ』では、主人公の楢夫くんがサルたちに翻弄されます。なお、ホンドサルはいわてレッドデータブックでは絶滅の危機に瀕している種とされていますが、北上山地の五葉山から三陸地域を中心として分布を拡大させており、奥羽山系でも生息が確認されているそうです。
12月 カラス

カレンダー採用作品 藤澤 千恵(大阪府)






今月の賢治作品
『烏百態』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/53380_43255.html 出典:青空文庫
賢治の詩『烏百態(からすひゃくたい)』では、雪の田んぼの中での様々なカラスの様子が描かれています。
カラスの足跡も、雪の田んぼにたくさんあったことでしょう。2026年、皆さんはどんな足跡を残してきたでしょうか。
12月もイキイキと、そして来たる2027年が皆さんにとってさらに羽ばたける年になりますように!
