
11月21日、「想いを伝えるカードデザイン大賞」の最終選考会および授賞式をギャラリーtooにて開催いたしました。今年も多彩な視点と豊かな感性にあふれた応募作品の中から、7作品が最終選考会に進みました。
当日は、会場に5名・オンラインで2名の方に参加いただき、作品だけを拝見していた段階とはまた違った、制作者自身によるストーリーや背景のプレゼンテーションが披露されました。想いの込められた言葉や制作プロセスを聞くことで作品の魅力が一層深まり、選考委員一同、最後まで頭を悩ませるほど充実した選考会となりました。



栄えある大賞には、小作咲葵さんの「成長メモリ154.9cm」が選ばれました。発想のユニークさに加え、個人的な想いを普遍的なメッセージとして形に落とし込んだ完成度の高さが選考委員から高く評価されました。
授賞式後の懇親会では、同年代の学生が多かったこともあり、初対面とは思えないほど和やかで活気ある交流が生まれました。作品を通じてつながった参加者同士が互いを讃え合い、刺激し合う姿は、この賞が目指してきた「想いを共有する場」そのものだったように思います。
このあと、各作品の紹介とともに、選考委員からの講評も掲載しております。ぜひ、受賞者たちが届けてくれた“想い”のかたちをご覧ください。
第9回想いを伝えるカードデザイン
大賞







母の誕生日
成長メモリ154.9cm
小作 咲葵 さん
届けたいメッセージ
私は憧れの人物はと聞かれると迷わず「母です」と答えるほど、母のことが好きです。今年、大学生になりバイトや課題などで誕生日もろくに祝えず母に気持ちを伝える時間が無かったことに気付き、母への感謝の手紙を製作しました。このメモリに私から母への感謝の思いと、これまで育ててくれてありがとうの気持ちを、メジャーに書き、その時の年齢の身長を思い出してもらうことで、自分がどれだけすくすくと育ったのかを知ってほしくこの形にしました。
選考理由
〇 片岡良子
本当に素敵な作品だと思いました。初めて見た瞬間から、「これは特別だ」と感じました。デザインそのものの美しさや独自性はもちろん、コンセプトと形がぴったり合致している点がとても印象的です。見る人の心に残るだけでなく、お母さんにとっても大切な宝物になる作品だと思います。こうした思いの込められたデザインを実現してくださったことに感謝します。大賞おめでとうございます。
〇 脇田あすか
大賞おめでとうございます。初めて作品を見たとき、「これは心に残るな」と直感しました。アイデア自体はとてもシンプルかもしれませんが、それをカードという形に落とし込む技術が本当に素晴らしいです。アイデアの魅力を最大限に引き出す形に仕上げられており、見る人に伝わる完成度の高さがあります。シンプルながらも考え抜かれたデザインのバランスが、大賞につながったのだと思います。
〇 鈴木ジェロニモ
この作品は、まさに「想いを伝えるカードデザイン大賞」というタイトルがそのまま具現化されたような完成度です。カードという形に、制作者の想いが細部まで丁寧に込められていて、ギミックや工夫、細かい作り込みからもその熱意が伝わります。ただのデザインではなく、想いと創意工夫が一体となり、最終的にカードの形として美しくまとめられています。大賞にふさわしい、心に残る作品です。
片岡良子賞(選考委員賞)



4月8日
お疲れ様、私
スー ナンダー ヌエ さん
届けたいメッセージ
いつもありがとう。いつも諦めずにいてくれてありがとう。いつも自分のことを大切にしてくれてありがとう。何があってもきっと大丈夫だから、これからも前向きでいてね。
選考理由
おめでとうございます。見た瞬間に心を強く動かされました。自分自身に向けたメッセージを丁寧に形にし、「大切に扱うべき存在としての自分」を確認できる点がとても魅力的です。ページを開いたときに広がる世界観には作者の“好き”が詰まっており、その想いがまっすぐ伝わってきました。チケットに記されたタピオカやタイ料理といった身近なモチーフも心温まる要素となり、こうした作品を持つ人が増えてほしいと感じるほど印象深い作品でした。
脇田あすか賞(選考委員賞)



3月8日
3-D卒業アルバム
関口 詩穏 さん
届けたいメッセージ
高校のクラスメイトと先生への感謝
選考理由
本作品は、本という形を生かしながら独自の魅力を持った点が印象的でした。サイズ感が内容とよく調和し、カードではなく冊子にしたことで生まれる層の構造が、写真とメッセージの心地よいリズムを際立たせています。水色の写真と文字が繰り返される構成は、シンプルでありながら読み手にすっと入り込む力を持っており、本という媒体ならではの良さが丁寧に表現された作品でした。ぜひ34人のクラスメート全員の手に届けてください。おめでとうございます。
鈴木ジェロニモ賞(選考委員賞)



4月1日
伝えたい思い .zip
竹内 翼 さん
届けたいメッセージ
高校入学と同時に買って、ゲームや自分のデザインを楽しませてくれたデスクトップパソコンに感謝の気持ちを届けたい。このパソコンがなければすることがなかったような体験をいくつもさせてくれた。
選考理由
この作品には、「あえて手間をかけて思いを形にする」という人間らしい行為の価値を強く感じました。デジタル上に当然のように存在する“ファイル”を、あえて手作業でつくり、そこにメッセージを書くというプロセスは、効率とは真逆の“遠回り”ですが、その行為自体が温かさや深い意味を帯びています。便利さが進む時代だからこそ、このような丁寧な遠回りがすごく美しい遠回りだと思い、賞を送らせていただきます。おめでとうございます。
クリンスイ賞(協賛企業賞)



2月13日
FRIENDSHIP PASSPORT
松﨑 菜月 さん
届けたいメッセージ
Bestie はるかへ
いつも一緒に海外旅行に行ってくれてありがとう !はるかとは高校で仲良くなって、大学では広島と奈良で離れちゃったけど、一年に一度のはるかとの海外旅行が毎年の楽しみになってるよ !旅行で、しかも海外でしか会わないというちょっと不思議な関係だけど、私たちらしく、マイペースにこれからもやっていこうね~。まだ3カ国しか行けてないけど、これからもいろんな国に一緒に行こう!次に海外旅行に行くときは、この「フレンドシップパスポート」も忘れずに持ってきてね。行った国のステッカーを貼って、どんどん増やしていこう !ずっと心友!
なつきより
選考理由
クリンスイ 戸越さん:受賞おめでとうございます。このパスポートの形なんですけれども、想いを伝えるカードデザイン。っていうことで、一番シンプルに。私の中ではデザインされている思いが一番形になっているなというふうに、感じていました。この後よく渡して、終わりっていうものが多いと思うんですけど、これ発展性があるなと思っていて。ステッカーをどんどん増やしていける。あとはおりの作りだったので、まあページを増やすことが可能だなと思っていて。あのお友達とで末永くずっと。ステッカーとページを足していって、成長する思い出として使っていただけるとすごくいいんじゃないかなというふうに思っております。ぜひ海外旅行を楽しんでください。おめでとうございます。
KOSE賞(協賛企業賞)



8月15日
12年ぶりの暑中見舞い
山崎 桜楽 さん
届けたいメッセージ
今年の夏、12年間会うことができなかった祖母に会いにいく。電話越しにしか私の成長を知らない祖母に大人になった姿を見せるドキドキ感、緊張と楽しみを届けたい。
選考理由
コーセー 山口さん:この度は受賞おめでとうございます。車窓に広がる鮮やかな空のブルーとひまわりの明るい色彩に、12年ぶりの再会への希望や温かな思いが重なります。カードを開くことで現れる風景は、記憶の扉を開くようで、時間の経過と家族への思いが丁寧に表現され、温かい余韻が残る素敵な作品だと感じました。
OAC特別賞



卒業・試験合格入社決定・成人式などのお祝い
沢山の喜びを込めたカード
横田 洋子 さん
届けたいメッセージ
電子マネーで送金する時代に敢えて想いと作る手間を掛けて伝える。大人になり互いに離れ、言葉にするのが気恥ずかしい、大人対大人の付き合いの節目に贈る悦び、作る喜び、受ける歓び、沢山の喜びを込めたい想いを届ける特別なカード。
選考理由
おめでとうございます。とてもしっかりとした美しい仕上がりで驚きました。たくさんの祝い事がいろいろと楽しみですね。OACメンバーによる審査で非常に好評でしたので、OAC特別賞をお贈りします。
●受賞作以外の評価の高かった作品もこちらからご覧ください。